欠品率とは?計算方法と業界別の平均目安、欠品を減らすための改善策を解説
欠品率は、在庫管理の適正さを測る重要な指標です。顧客からの注文に対して商品を供給できなかった割合を示し、欠品率が高い状態が続くと、売上機会の損失だけでなく顧客満足度の低下やブランドイメージの悪化を招きます。一方で、欠品率をゼロにしようとすると膨大な在庫を抱えることになり、保管コストや不良在庫のリスクが増大するため、業種や商品特性に応じた適切な許容欠品率の設定が求められます。
本記事では、欠品率の基本的な定義から計算方法、業界別の目安、欠品が発生する原因、そして倉庫管理者が実践できる改善策まで、体系的に解説します。自社の欠品率管理を見直す際の参考にしてください。
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欠品率とは
欠品率とは、顧客からの需要(注文)に対して、商品を供給(納品)できなかった割合を示す指標です。品切れ率とも呼ばれ、在庫管理や供給チェーンの健全性を評価するための基本的な指標として活用されています。
欠品率と対になる概念として「サービス率」があります。サービス率は、品切れを起こさずに顧客の注文に対応できた割合を示すもので、「欠品率(%)=100%-サービス率(%)」という関係が成り立ちます。たとえば、サービス率が95%であれば欠品率は5%となり、100回の注文のうち5回は欠品で対応できなかった、という意味です。
欠品率が重要視される理由は、ビジネスに与える影響の大きさにあります。欠品が発生すると、売上機会の損失(機会損失)が生じるだけでなく、顧客満足度の低下を招きます。とくに競合商品が豊富な市場では、一度の欠品が顧客離れを引き起こし、ブランド価値の低下につながる可能性も否定できません。
欠品率の計算方法
欠品率の計算方法は、何を基準にするかによって複数のアプローチが存在します。商品数量を基準にする方法、金額を基準にする方法、カテゴリ別に算出する方法など、目的に応じて使い分けることが重要です。
ここでは、代表的な3つの計算方法を紹介します。
- 基本の計算式(数量欠品率)
- 金額欠品率の計算式
- カテゴリ別欠品率の計算式
基本の計算式(数量欠品率)
最も一般的な欠品率の計算方法は、数量を基準とした計算式です。
| 欠品率(%)= 欠品数 ÷ 全体の注文数 × 100 |
たとえば、100個の注文に対して20個が欠品で納品できなかった場合、欠品率は20%となります。この計算式はシンプルで分かりやすく、日常的な在庫管理のモニタリングに適しています。
数量欠品率は、欠品の頻度やどの商品が欠品しやすいのかを把握するのに役立つ指標です。一般的に欠品率は売れ筋商品ほど高くなる傾向があるため、欠品率の上昇は売上機会の損失拡大を意味します。
金額欠品率の計算式
金額を基準とした欠品率は、欠品が収益に与える影響を把握するのに適した指標です。
| 金額欠品率(%)= 欠品による損失売上額 ÷ 全体の売上金額 × 100 |
高額商品が欠品した場合、数量は少なくても金額欠品率は高くなることがあります。たとえば、単価1,000円の商品10個の欠品と、単価10,000円の商品1個の欠品では、数量欠品率は前者が高くなりますが、損失金額は同じです。
売上への影響を重視する場合は金額欠品率を、在庫管理の効率化を図りたい場合は数量欠品率を重視するというように、分析目的に応じて使い分けることが重要となります。
カテゴリ別欠品率の計算式
小売店の売場管理においては、カテゴリ別の欠品率を算出する方法が有効です。
| カテゴリ別欠品率(%)= 欠品アイテム数 ÷ 同一カテゴリのアイテム数 × 100 |
たとえば、おにぎりというカテゴリ内に梅・鮭・昆布・たらこの4アイテムがあり、昼食後の調査で梅のおにぎりが売り切れていた場合、欠品率は「1÷4×100=25%」となります。
この計算方法は、売場の品揃え状況を把握し、適切な棚割りや補充タイミングの判断に活用できます。カテゴリごとの欠品率を継続的にモニタリングすることで、売場の魅力維持と売上機会の最大化につなげることが可能です。
業界別に見る欠品率の目安
許容される欠品率は、業種や商品特性によって大きく異なります。商品が欠品することで買い手にどの程度の影響を与えるかによって、求められる管理水準が変わってくるためです。
ここでは、代表的な業界別の欠品率の目安を紹介します。
- 小売業・EC:10〜30%
- 製造業(自動車・建設):3%以下
- 医療用品・重要部品:極めて低い水準
小売業・EC:10〜30%
ネットショップや小売業では、欠品率10〜30%程度が一般的な水準とされています。店頭に商品がなくても他店で購入できる選択肢があり、欠品の影響が比較的限定的なためです。
一方で、従来のデパートやブランドショップでは店頭欠品率が30〜40%に達することもあるとされています。これは、シーズンごとに商品を入れ替えるアパレル業界などで、欠品を恐れて過剰在庫を抱えるよりも、売れ残りリスクを抑える戦略を採用する企業が多いためです。
ECサイトでは店頭よりも高い水準の品揃えが可能なため、「店頭にはなかったがネットでは買えた」という顧客体験を提供できる場合もあります。自社の販売チャネルと顧客期待に応じた欠品率設定が求められます。
製造業(自動車・建設):3%以下
自動車部品や建設業界では、欠品率3%以下という非常に低い水準が求められています。一つの部品が足りないだけで全ての生産ラインが停止してしまうリスクがあるためです。
製造業の場合、部品欠品による生産ライン停止は、自社だけでなく取引先にも多大な損害を与えます。そのため、非常に厳しい欠品率管理が必要となり、高い水準の安全在庫を確保する傾向にあります。
また、製造業では完成品だけでなく、原材料や仕掛品の欠品率も管理しなければなりません。生産リードタイムが長くなるほど必要な在庫数の予測が難しくなるため、リードタイム短縮の改善活動も欠品率管理と並行して進める必要があります。
医療用品・重要部品:極めて低い水準
医療用品や産業機器の重要部品など、安全性・信頼性が重視される分野では、許容欠品率を限りなくゼロに近づける必要があります。
医療現場での欠品は、患者の生命に関わる深刻な事態を招きかねません。また、産業機器の重要部品が欠品すれば、工場の稼働停止や安全上の問題につながる可能性があります。
こうした分野では、在庫コストよりも欠品リスクの回避が優先されます。複数の調達先を確保する、安全在庫を十分に積み増すといった対策に加え、サプライチェーン全体での情報共有と連携強化が不可欠です。
欠品が発生する主な原因
欠品は単一の原因ではなく、複数の要因が複雑に絡み合って発生することが多いものです。原因を正しく理解し、一つずつ対策を講じていくことが欠品率改善の第一歩となります。
欠品の原因は、販売、調達、生産、物流のそれぞれに起因するケースがあり、現状を分析したうえで優先順位をつけて対処することが重要です。ここでは、代表的な3つの原因を解説します。
- 需要予測の精度不足
- 発注リードタイムの把握不足
- 在庫管理の不備
需要予測の精度不足
過去の販売データや市場動向を正確に分析できず、需要を過小評価してしまうと、在庫不足による欠品が発生します。とくに季節変動やキャンペーン情報を需要予測に反映できていない場合、予想以上の販売数量に対応できなくなります。
需要予測の精度が低い原因としては、過去データの分析不足、市場トレンドの把握不足、予測モデルの陳腐化などが挙げられます。また、新商品や需要変動が激しい商品については、過去データだけでは予測が難しいケースも少なくありません。
需要予測の精度を上げるためには、販売データだけでなく、天候、イベント、競合動向、SNSでの話題性など、多角的な情報を分析に取り入れるなどの対策をとりましょう。
発注リードタイムの把握不足
発注から納品までの期間(発注リードタイム)を正確に把握できていないと、適切な発注タイミングを逃してしまいます。「追加在庫を発注したが、商品がまだ届かない」という状況が発生し、欠品につながります。
リードタイムが長い商品ほど欠品リスクは高くなりますが、リードタイムの長さをカバーするために一度に大量発注すると、過剰在庫を抱えるリスクも発生する可能性もあるでしょう。
サプライヤーの状況や物流環境の変化によって、リードタイムは変動することがあります。そのため、定期的にリードタイムを確認し、発注点や発注量の見直しをおこなうことが重要です。
在庫管理の不備
帳簿在庫と実在庫の差異、入出庫管理の不徹底、棚卸しの頻度不足、倉庫内の整理整頓不足なども欠品を招く原因となります。
データ上では在庫があることになっているのに、実際には商品がない状態は「見えない欠品」とも呼ばれ、顧客への出荷時に初めて発覚するケースも少なくありません。
在庫管理の不備を解消するためには、入出庫のたびに正確な記録をおこなう体制の構築、定期的な棚卸しによる帳簿と実在庫の照合、倉庫内のロケーション管理の徹底が必要です。
欠品率を下げるために倉庫管理者ができること
欠品率を下げるためには、在庫管理の徹底が何より重要となります。必要な在庫数を正確に把握し、リアルタイムの在庫状況を可視化することで、欠品リスクを最小限に抑えられます。
倉庫管理の改善は、すぐに取り組める基本的な対策から、システム導入による抜本的な改革まで、段階的に進めることが可能です。自社の状況に合わせて、優先度の高い施策から着手しましょう。
ここでは、倉庫管理者が実践できる5つの改善策を紹介します。
- 倉庫内の整理整頓とロケーション管理
- 入出庫管理の徹底と定期的な棚卸し
- 発注リードタイムの短縮
- 需要予測の精度向上
- 在庫管理システム・WMSの導入
倉庫内の整理整頓とロケーション管理
倉庫内の整理整頓は、欠品率を下げるための基本的な対策です。5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底し、商品の定位置管理をおこなうことで、在庫の迅速な把握と取り出しが可能になります。
ロケーション管理とは、どの商品がどこに保管されているかを明確に管理する手法です。棚番号や区画番号を設定し、商品との紐付けを徹底することで、ピッキング作業が効率化され、誤出荷や在庫差異を減らせます。
不要な在庫の削減にも取り組みましょう。デッドストックや不良在庫は保管スペースを圧迫し、他の商品の出し入れを妨げる要因となります。
入出庫管理の徹底と定期的な棚卸し
入出庫のたびに正確な記録をおこなう体制を構築することで、帳簿在庫と実在庫の差異を最小限に抑えられます。バーコードやRFIDを活用した記録の自動化は、ヒューマンエラーの削減に効果的です。
定期的な棚卸しも欠かせません。年1回の棚卸しだけでは在庫差異の原因特定が困難なため、月次や週次での循環棚卸しを取り入れ、継続的に精度を維持することが重要です。
差異が発生した場合は、原因を究明し再発防止策を講じることで、在庫管理の精度を段階的に向上させることが可能となります。
発注リードタイムの短縮
発注リードタイムが短いほど欠品リスクは下がります。サプライヤーとの連携を強化し、情報共有を密におこなうことで、リードタイム短縮につなげられます。
発注プロセスのシステム化・効率化も有効な手段です。発注から納品までの各工程を可視化し、ボトルネックとなっている部分を改善することで、全体のリードタイムを短縮できます。
また、複数のサプライヤーを確保しておくことで、一社が供給困難になった場合のバックアップ体制を構築できます。リードタイムの短いサプライヤーを優先的に活用する選択肢も検討しましょう。
需要予測の精度向上
過去の販売データ、季節変動、市場動向を分析し、需要予測の精度を高めることで、適切な在庫水準を維持できます。
近年はAI需要予測ツールの活用も進んでいます。機械学習を活用した予測モデルは、人間では気づきにくいパターンや相関関係を発見し、予測精度を向上させることが可能です。
予測の精度を継続的に改善するためには、予測と実績の差異を定期的に検証し、予測モデルやパラメータを調整していくPDCAサイクルが重要となります。
在庫管理システム・WMSの導入
在庫管理システムやWMS(倉庫管理システム)を導入することで、リアルタイムでの在庫状況把握が可能になります。入出庫のたびにデータが更新されるため、帳簿在庫の精度が向上し、欠品や過剰在庫のリスクを最小限に抑えられます。
WMSは、入荷から出荷、棚卸し、ロケーション管理までを一元的にサポートし、倉庫内業務の効率化と標準化を実現します。バーコードやハンディターミナルとの連携により、作業ミスの削減やピッキング速度の向上も期待できます。
複数拠点で在庫を管理する企業では、拠点間の在庫移動も含めた一元管理が可能となり、全体最適化を図れます。欠品リスクの低減と在庫コストの削減を両立させるためには、自社の業務に適したシステムの導入を検討してみてください。
まとめ
欠品率は、顧客の注文に対して商品を供給できなかった割合を示す指標であり、在庫管理の適正さを評価する重要な基準です。計算方法は数量基準、金額基準、カテゴリ別と複数あり、分析目的に応じて使い分けることが求められます。
許容される欠品率は業界によって大きく異なり、小売業・ECでは10〜30%、製造業では3%以下、医療用品では限りなくゼロに近い水準が目安となります。欠品の主な原因には、需要予測の精度不足、発注リードタイムの把握不足、在庫管理の不備などがあり、これらを一つずつ改善していくことが重要です。
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