COLUMN

顧客情報の活用事例4選|小売店がAIで販促につなげる方法を解説

2026.08.29

顧客情報の活用とは、店舗が集めた会員データや購買履歴を分析し、販促や接客に役立てる取り組みです。ポイントカードやアプリで情報は貯まっているものの、販促につなげられていない小売店も多く見られます。

情報が会員システムやPOS、紙のメモに分かれたままでは、誰に何を届けるべきかを判断できません。

本記事では、小売店が顧客情報を販促に活用した事例4件と、AIを使った進め方を、店舗運営の責任者に向けて解説します。自社の販促を見直す材料としてお使いください。

顧客情報の活用とは?小売店がもつ顧客情報の種類

顧客情報の活用とは店舗に蓄積された顧客のデータを分析し、販促や接客の判断に使う取り組み全般を指します。小売店が手にできる顧客情報は、主に次の5つです。

  • 会員登録時の属性情報
  • 購買履歴
  • 来店履歴とポイントの利用状況
  • 接客や相談の記録
  • アンケートや口コミ

このうち小売店がすぐ手をつけられるのは、購買履歴です。レジを通るたびに自動で蓄積され、追加の入力作業がいりません。分析の方法は購買履歴データとは?分析手法と活用メリットをわかりやすく解説で解説しています。

小売店で顧客情報の活用が進まない原因

顧客情報は集まっているのに、販促に結びついていない原因は情報の置き場所、判断の仕方が統一されていないことです。ここからは、小売店での販売情報の活用が難しい理由を3つ紹介します。

  • 情報が会員システム・POS・紙のメモに分かれている
  • 誰に何を送るかの判断が担当者に依存している
  • 分析と配信を手作業でおこなっている

情報が会員システム・POS・紙のメモに分かれている

顧客情報は、集める場所ごとにばらばらに保管されがちです。会員システムには氏名や生年月日、登録店舗が入り、POSには日付ごとの買上商品と点数、金額が残り、担当者のメモには肌の悩みや使用中の商品といった会話の内容が書かれています。3つの記録に共通の会員IDが入っていなければ、同じお客様のものだと突き合わせられません。

たとえば、化粧水を3か月に1回買うお客様がいたとします。POSを見れば購入の周期は分かるものの、そのお客様が乾燥肌でどの商品を試したかは担当者のメモにしか残っていません。会員システムの登録情報とも結びつかず、次に何をすすめるべきかの判断は接客した本人の記憶頼みになります。

誰に何を送るかの判断が担当者に依存している

小売店での顧客情報をもとにしたDMなどの配信判断は、担当者の経験によるところが大きいです。万が一担当者が変われば施策の傾向が変わる可能性があり、また判断の根拠が残らないため、うまく行った施策を再現できません。

 

また、本部が一律で配信するのも問題です。クーポンは顧客の関心度別に別のものを配信したり、誕生日などに特別クーポンを出すことでロイヤリティを高める効果がありますが、そういった使い分けができなくなり、顧客との関係構築につながりません。

分析と配信を手作業でおこなっている

顧客情報の分析と配信をすべて手作業で行っているのも、なかなか活用が進まない原因です。POSからデータを書き出して、表計算ソフトで集計、対象者を抽出して配信する流れを担当者がこなしている場合、作業量が多くなかなか配信がすすみません。

そのため、情報やクーポンの配信頻度が低く、ほぼ効果がないという店舗もあるでしょう。購買のタイミングに合わせたタイムリーな配信は、手作業では実現が難しいです。

顧客情報を販促に活用した事例

顧客情報を販促につなげた小売店の取り組みを4件紹介します。使ったデータと施策を並べると、自社で着手できる範囲が見えてきます。

企業 業態 使った顧客情報 販促での使い方
トライアル 食品スーパー 会員の属性とID-POSの購買履歴 AIがおすすめ商品とクーポンをカート画面に表示
万代 食品スーパー ポイントカードの会員情報と買上情報 優良顧客へアプリでクーポンを直接配信
サツドラ ドラッグストア アプリとポイントカードの購買履歴 未購入カテゴリー向けのクーポンを配布
いなげや 食品スーパー ポイントカード会員の購買データ 分析結果をもとに施策を継続的に改善
  • AIが会員ごとにおすすめ商品とクーポンを表示する食品スーパー
  • ポイントカードとアプリをつないで優良顧客に届ける食品スーパー
  • 購買履歴から未購入カテゴリーを狙ってクーポンを配るドラッグストア
  • 会員プログラムを長期で改善し続ける食品スーパー

AIが会員ごとにおすすめ商品とクーポンを表示する食品スーパー

トライアルは、買い物カートのタブレットでAIによる商品提案をおこなっています。セルフレジ機能付きのスマートショッピングカートに、グループが蓄積した270億件のID-POSデータをもとにしたレコメンドアルゴリズムを搭載し、お客様の属性や購買履歴からその人に合った商品を選んで画面に表示する仕組みです。スキャンした商品に合わせて、その場で使えるクーポンが表示される点も特長です。

カートは2018年2月に実店舗での正式運用を開始し、グループのスーパーセンターへ展開が進んでいます。2021年6月時点でトライアルの店舗における利用率は41.2%で、来店頻度の向上とレジ人数の削減にもつながっています。

出典:スマートショッピングカート次世代モデル発表 小売企業の導入障壁を取り除く月額サブスクリプションプランを新たに導入

ポイントカードとアプリをつないで優良顧客に届ける食品スーパー

万代は、ポイントカードで集めた顧客情報をアプリと結びつけ、優良顧客への直接の働きかけを実現しました。近畿一円で170店舗を展開する同社は、会員情報と買上情報を収集・分析していたものの、店頭やチラシ以外にお客様へ届く手段をもっていませんでした。

アプリの導入後は、会員登録の初期目標を計画の半分以下の期間で達成しています。商品部と連動したクーポン配信により、ポイントカードの稼働率も向上しています。お客様の反応をデータですぐ読み取れるため、企画の改善にも早く着手可能です。

出典:株式会社万代 × テスク「Safri」導入事例

購買履歴から未購入カテゴリーを狙ってクーポンを配るドラッグストア

サツドラを運営するサッポロドラッグストアーは、アプリで集めた購買履歴をもとに、まだ買われていないカテゴリーの購入を促しています。同社は日用品、医薬品、化粧品、食品と幅広いカテゴリーを扱っており、食品を買っていないお客様には食品のクーポンを届けるという配り方です。買うカテゴリーが増えるほど顧客生涯価値が上がるという考え方にもとづいた施策になっています。

公式アプリのダウンロード数は約145万件に達し、アプリ利用者は非利用者と比べて顧客生涯価値が1.6倍、来店頻度が1.5倍という結果です。アプリと公式LINEを組み合わせたマルチチャネルのクーポン施策は、これまでに数十億円規模の売上インパクトをもたらしました。

出典:サツドラ、クーポン配布で「数十億円の売り上げ効果」 アプリ会員「145万人」達成で見据える、真の顧客理解

会員プログラムを長期で改善し続ける食品スーパー

いなげやは、ポイントカード会員向けのCRM施策を15年以上にわたって継続しています。マーケティング支援会社のフュージョンとともに、CRM戦略の策定から購買データの分析、プロモーションの実行までを一貫して進めてきました。施策の相談相手と実行体制がそろわないという課題を、外部パートナーとの伴走で解決した形です。

長く続けてきた分、過去の施策の結果から次の効果を予測できる点も強みです。LINEミニアプリのような新しい取り組みにも着手しやすくなっています。

出典:長期間の伴走CRM支援で安定した会員プログラム運営を実現

顧客情報を活用する際の注意点

顧客情報の活用は、集めれば成果が出るというものではありません。進め方を誤ると信頼を損なうおそれもあるため、ここでは3つの注意点を挙げます。

  • 利用目的を明示して同意を得る
  • 重複や表記ゆれを整理してから分析する
  • 現場の入力負担を増やさない

利用目的を明示して同意を得る

顧客情報を集める前に、何のために使うのかをお客様へ伝えましょう。会員登録の画面やポイントカードの申込書に利用目的を記載し、同意を得たうえで運用します。個人情報保護法の考え方に沿った運用は、販促の前提です。

とくに、アレルギーや既往症のような機微な情報を扱う売場では、慎重な設計が必要になります。保管期間や閲覧できる担当者の範囲も、あらかじめ決めておきましょう。

重複や表記ゆれを整理してから分析する

分析に入る前に、データの重複と表記ゆれを整理しましょう。同じお客様が会員システムとアプリで別々に登録されていると、購買履歴が2つに割れて実態を読み違えます。汚れたデータをもとにした施策は、届けるべき相手を外してしまいます。

住所の表記、電話番号の桁、氏名のカナ表記といった項目をそろえるところから始めてみてください。統合の作業は手間がかかるものの、あとの分析の精度を左右します。

現場の入力負担を増やさない

顧客情報の入力は、売場のスタッフが無理なく続けられる範囲に絞りましょう。項目を増やしすぎると、忙しい時間帯には記録が飛び、データが虫食いになります。入力する項目を増やすより、毎日確実に残る項目を優先しましょう。

会員IDの読み取りとレジ通過で自動的に貯まる情報を基本にし、手入力は相談内容など必要最小限にとどめます。運用を軽くしておけば、担当者が代わっても記録が続きます。

顧客情報の活用にはB-Luckお客様カルテとマーケティング+がおすすめ

顧客情報を1か所にまとめて販促につなげるなら、弊社のB-Luckお客様カルテとマーケティング+をおすすめします。お客様カルテは、化粧品売場や医薬品売場で会員IDを読み取り、来店状況や接客履歴、購入履歴を画面に表示するツールです。アレルギーや体質、既往症、肌の悩みもデータ化でき、手書きのメモも記録として残せます。

担当者に依存しない接客ができるうえ、蓄積した情報をDMなどのマーケティングにも使えます。マーケティング+は、年齢や性別、購買傾向、利用チャネルなど複数の軸で対象者を抽出し、シナリオに沿ってメールやアプリ連携を自動で実行するMAツールです。来店から30日後の再来店促進クーポンといった配信も、あらかじめ設定しておけます。

配信後は、開封率やクリック率、来店率をシナリオ単位で確認できます。業態別のテンプレートを用意しているため、専門知識がなくても設定に取りかかれるはずです。既存のCRMや会員管理システム、POSレジとの連携にも対応しており、通常1〜2か月で導入可能です。AIを使った顧客管理の考え方は、AIを活用した顧客管理とは?できること・メリット・導入時のポイントを解説もあわせてご覧ください。

顧客情報の活用に関するよくある質問

顧客情報の活用について、小売店の現場から寄せられることの多い疑問をまとめました。判断の材料としてお役立てください。

顧客情報はどこまで集めればよいですか

最初は、会員IDと購買履歴だけで十分です。属性や相談内容は、実際に使う施策が決まってから項目を追加するほうが、現場の負担を抑えられます。目的のない項目を増やすと入力が続かないため、施策から逆算して決めましょう。

会員数が少なくても効果はありますか

会員数が少ない段階でも始められます。母数が小さいほど1件あたりの反応を細かく追えるため、どの内容が響くかを見極めやすくなります。まずは数十人規模のセグメントで試し、結果を見ながら対象を広げてみてください。

紙のカルテからでも始められますか

紙のカルテからの移行も可能です。過去分をすべて入力し直すのではなく、次に来店されたタイミングから電子化していく方法なら、現場の負担を抑えられます。カルテの項目づくりは顧客カルテとは?無料で作れるエクセルテンプレートやおすすめアプリを紹介を参考にしてみてください。

AIを使うと何が変わりますか

対象者の抽出と配信内容の選定を、AIに任せられます。担当者が勘で決めていた「誰に何を送るか」を、購買傾向にもとづいて自動で組み立てられる点が違いです。ただし成果を確かめる作業は人が担うため、配信結果の振り返りは続けましょう。

まとめ

小売店の顧客情報は、ポイントカードやアプリを通じて日々貯まっています。活用が進まない理由は情報量ではなく、会員システムやPOS、紙のメモに分かれた保管と、担当者の勘に頼った判断にあるためです。

今回紹介した4件は、いずれも情報を1か所にまとめるところから始めていました。AIでクーポンを個別配信する食品スーパー、ポイントカードとアプリをつないだ食品スーパー、3事業の顧客情報を統合するドラッグストア、会員プログラムを長期で改善する食品スーパーと、進め方はさまざまです。

まずは会員IDと購買履歴という手元のデータから着手し、少人数のセグメントで試してみてください。顧客情報を販促につなげ、また来たいと思ってもらえる売場をかなえましょう。

お役立ち資料

お客様カルテ 紹介資料

  • お客様の抱える課題
  • 課題解決提案
  • 機能紹介
  • Dカウンセラー neoとの連携でできること

最新記事

関連記事

資料ダウンロード

B-Luckとは

AI需要予測型システム
B-Luckの
お問い合わせやお役立ち資料ダウンロードはこちら