COLUMN

なぜフードロスが起こるのか?業界別の原因とAIで減らす方法

2026.09.28
フードロスを防ぐための管理
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フードロスが起こる根本的な理由は、食品の需要と供給を完全には一致させられないことにあります。そこに、食品には販売できる期間があるという性質、規格や納品期限といった商慣習、現場の管理体制、消費者の買い方や食べ方が重なって、まだ食べられる食品が捨てられます。

ただし、フードロスは「誰かの意識が低いから起こる」という単純な問題ではありません。製造、卸、小売、外食、家庭のそれぞれに異なる発生の仕組みがあり、原因を工程別に分けて見なければ、効果のある対策にはつながりません。

本記事では、フードロスの定義と国内の発生量から、フードロスが起こる共通の原因、事業系・家庭系それぞれの原因、AIやシステムの活用までを、食品スーパーやドラッグストアなど小売店の運営担当者に向けて解説します。自社のどの工程でロスが生まれているかを整理する材料としてお使いください。

フードロスとは

フードロスとは、本来は食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のことです。国内では「食品ロス」とほぼ同じ意味で使われており、骨や皮のように食べられない部分まで含む「食品廃棄物」とは区別されます。

たとえば、食べ残し、売れ残り、期限切れによる廃棄、形や大きさが規格から外れた農産物や加工品などが該当します。反対に、魚の骨や野菜の芯、果物の皮のように、もともと食用でない部分は食品廃棄物には含まれますが、フードロスには数えません。

「捨てた食品の量」と「捨てなくてよかった食品の量」を分けて考えることが、フードロスの原因を探る出発点です。

なぜフードロスが起こるのか

フードロスが起こる大きな原因は、需要と供給を完全には合わせられないことです。そこに、食品の期限、規格や商慣習、現場の管理体制、消費者の行動が重なることで、まだ食べられる食品が廃棄されます。

  • 需要量を正確に予測できないため
  • 欠品を避けるため多めに用意するため
  • 食品を販売できる期間に限りがあるため
  • 規格や商慣習から外れると販売しにくいため
  • 在庫と期限の情報が共有されていないため
  • 消費者の買い方や食べ方も影響するため

需要量を正確に予測できないため

需要量を正確に予測できないことは、フードロスが起こるもっとも根本的な原因です。天候、曜日、地域のイベント、競合店の動きなど、売上を左右する要素が多すぎて、人の経験だけでは当てきれないためです。

雨の日に客数が落ちて弁当が売れ残る、近隣で催事があった日に想定外に売れて翌日の発注を増やしたら今度は余る、といった読み違いは、経験豊富な担当者でも避けられません。予測が外れた分だけ、売れ残りか欠品のどちらかが生まれます。

需要予測の精度をどう高めるかが、フードロス対策の中心にある課題です。

欠品を避けるため多めに用意するため

欠品を避けるために多めに用意する構造も、フードロスの大きな原因です。棚が空になることや販売機会を逃すことを、売れ残りよりも重い損失と捉える判断が、発注や生産、仕込みを多めにさせるためです。

実際、小売店では「品切れでお客様を逃したくない」という理由で安全在庫を厚めにとり、製造現場では受注に対して余裕をもたせた生産計画を組み、外食では来店のピークに備えて多めに仕込む、という判断が日常的におこなわれています。それぞれの判断は合理的ですが、積み重なると常に供給が需要を上回ります。

欠品と廃棄のどちらをどこまで許容するかを明確にしないと、多めに用意する習慣は変わりません。

食品を販売できる期間に限りがあるため

食品を販売できる期間に限りがあることも、フードロスが起こる原因です。食品は時間の経過とともに品質が低下するため、需要が来る前に販売できる期間が終わってしまえば、そのまま廃棄になるためです。

賞味期限や消費期限だけでなく、賞味期限より前に店舗独自の販売期限や撤去日が設定される場合もあります。日配品や惣菜のように販売できる期間が1日から数日しかない商品では、その日のうちに売り切れなければ翌日に持ち越せません。

販売できる期間が短い商品ほど、需要予測のずれがそのまま廃棄になります。

規格や商慣習から外れると販売しにくいため

規格や商慣習から外れると販売しにくいことも、フードロスの原因です。中身の安全性に問題がなくても、見た目や形、重量、包装の状態、納品までの期限といった基準を満たさない商品は、通常の流通に乗せにくいためです。

たとえば、曲がったきゅうりや大きさのそろわない果物、外箱に傷がついた加工食品、納品期限を過ぎた商品などは、品質そのものに問題がなくても取引先に受け入れられず、廃棄や返品の対象になります。製造から賞味期限までの最初の3分の1の期間内に小売へ納品する、いわゆる「3分の1ルール」も、法律ではなく食品流通の商慣習として広まったものです。

安全性以外の基準で販売できなくなる仕組みが、まだ食べられる食品を廃棄へ向かわせています。

在庫と期限の情報が共有されていないため

在庫と期限の情報が共有されていないことも、フードロスが起こる原因です。本部、倉庫、店舗で情報が分かれていると、余っている商品や期限の近い商品を誰も把握できず、対応が遅れるためです。

ある店舗では期限の近い在庫が残っているのに、別の店舗では同じ商品を新たに発注している、倉庫に在庫があるのに店舗が把握しておらず追加で仕入れている、といったずれは、情報が分断された組織で起こりがちです。全体で見れば防げたはずの廃棄が、部分ごとの判断で発生します。

在庫と期限を1つの情報として共有できているかどうかが、組織としてのロスの量を左右します。

消費者の買い方や食べ方も影響するため

消費者の買い方や食べ方も、フードロスに影響します。特売でまとめ買いした食品を使い切れない、作りすぎて食べ残す、棚の奥から期限の長い商品を取る、といった行動が、家庭と店舗の両方でロスを生むためです。

たとえば、すぐに食べる予定の商品でも奥から取る買い方が広がると、手前の商品が売れ残り、店舗側の廃棄が増えます。家庭では、冷蔵庫の奥に入れたまま忘れて期限が切れる、という直接廃棄が典型です。

フードロスは事業者側の努力だけでは減らせず、消費者の行動も含めて考える必要があります。

フードロスが企業に与える影響

フードロスは環境問題として語られることが多いものの、事業者にとってはまず経営の問題です。ここでは、企業が受ける4つの影響を整理します。

  • 仕入原価と売上を失う
  • 保管・値引き・廃棄の費用が増える
  • 温室効果ガスと資源の浪費につながる
  • 店舗や企業の評価を下げる

仕入原価と売上を失う

フードロスは、仕入原価と売上の両方を企業から奪います。廃棄した商品の仕入代金は回収できず、販売できていれば得られたはずの売上も同時に失うためです。

たとえば、仕入値300円、売価500円の商品を10個廃棄すると、3,000円の仕入代金が無駄になるだけでなく、5,000円の売上機会も消えます。売上に対する廃棄の割合が数パーセントでも、年間で見れば利益に大きく影響します。

消費者庁の推計では、2024年度のフードロスによる経済損失は国全体で約3.8兆円です。廃棄はコストではなく、利益の直接的な減少として捉える必要があります。

保管・値引き・廃棄の費用が増える

フードロスは、商品そのものの損失に加えて、保管・値引き・廃棄にかかる費用も増やします。売れない商品を抱えている間も、処分するときも、人手と経費が発生するためです。

具体的には、冷蔵・冷凍の保管費や光熱費、値引きシールの貼付や売場移動の作業時間、撤去と廃棄の作業、産業廃棄物としての処理費用などが積み上がります。値引きで売れた場合も、値引き分は粗利の減少として残るコストです。

廃棄コストの考え方については、廃棄ロスとは?対策方法や食品ロスにかかる廃棄コストなど徹底解説で詳しく解説しています。

温室効果ガスと資源の浪費につながる

フードロスは、温室効果ガスの排出と資源の浪費にもつながります。廃棄物の焼却時だけでなく、その食品を生産、加工、輸送する過程で使った水やエネルギー、労働力まで無駄になるためです。

消費者庁の推計によると、2024年度の国内フードロスによる温室効果ガス排出量は978万トン-CO2に相当します。捨てられた食品1つの背後には、農地や工場、物流で消費された資源があり、それらすべてが結果を生まずに終わることになります。

環境負荷の観点は、取引先や投資家からの評価にも関わる要素です。

店舗や企業の評価を下げる

大量廃棄が常態化すると、店舗や企業の評価を下げるおそれがあります。消費者や取引先から、管理体制や発注の精度を疑われるためです。

たとえば、閉店間際に大量の惣菜が値引きシールを貼られたまま残っている光景や、廃棄の様子がSNSに投稿される事例は、店舗の印象を悪くします。取引先にとっても、返品や廃棄の多い取引先は、発注精度の低い相手として見られます。

フードロスへの取り組みは、コスト削減であると同時に、店舗や企業の信頼に関わる問題です。

フードロスを原因から減らす方法

対策そのものの詳しい説明は、フードロス削減のために効果的な取り組み6選!食品ロスを減らして社会貢献に譲ります。ここでは、どの原因にどの対策が対応するのかという関係を整理します。

  • 過剰生産には生産計画を見直す
  • 過剰発注には需要予測を活用する
  • 期限切れには期限管理を仕組み化する
  • 売れ残りには早めの値引きをおこなう
  • 余剰品には寄付や別販路を活用する

過剰生産には生産計画を見直す

過剰生産によるフードロスには、生産計画の見直しで対応しましょう。作りすぎの原因は生産量の決め方にあるため、販売実績と在庫量をもとに計画を組み直すことが直接の対策になるためです。

過去の出荷実績、現在の在庫量、取引先からの受注見込みを突き合わせ、製造ロットの単位を需要に近づけます。原料の規格外品については、加工用途への転用や別の製品への活用を検討します。

生産段階のロスは、販売現場では防げません。作る量を決める段階での見直しが必要です。

過剰発注には需要予測を活用する

過剰発注によるフードロスには、需要予測の活用で対応しましょう。発注量が多すぎる原因は需要の読み違いにあるため、曜日や天候、販促、イベントといった変動要因を発注量へ反映できれば、多めに発注する必要が減るためです。

雨の日は弁当の発注を減らす、特売の翌日は通常より少なく発注する、といった調整を担当者の勘ではなくデータにもとづいて判断できれば、欠品を増やさずに過剰在庫を抑えられます。

需要予測は、小売業のフードロス対策のなかでもっとも根本に近い対策です。

期限切れには期限管理を仕組み化する

期限切れによるフードロスには、期限管理の仕組み化で対応しましょう。期限切れの原因は確認漏れと対応の遅れにあるため、全品を毎日確認する運用ではなく、期限が近い商品だけを通知する仕組みに変えることで、見落としを減らせるためです。

商品ごとの期限を登録しておき、値引きや撤去の基準日を迎えた商品だけを抽出して確認する運用にすれば、確認の対象と作業量を絞れます。確認と対応の記録を残せば、未対応の商品も把握できます。

期限管理の自動化については、賞味期限チェックを自動化する方法!エクセル管理の方法やツールでの自動化も紹介を参考にしてください。

売れ残りには早めの値引きをおこなう

売れ残りによるフードロスには、早めの段階的な値引きで対応しましょう。廃棄直前に大幅な値引きをしても売り切れないことが多く、粗利を落としたうえに廃棄も残るという結果になりやすいためです。

期限までの残り時間に応じて、小さな値引きから段階的に引き下げる方法であれば、需要のあるうちに売り切れる可能性が高まります。値引きの開始時期と幅を商品カテゴリーごとに決めておけば、担当者による判断のばらつきも防ぎやすくなるはずです。

値引きは廃棄を減らす手段であると同時に、粗利をどこまで守るかという判断でもあります。

余剰品には寄付や別販路を活用する

それでも発生した余剰品には、寄付や別販路の活用で対応しましょう。通常の売場では売り切れない商品でも、フードバンクへの寄付、訳あり品としての販売、食品ロス削減アプリでの販売など、廃棄以外の出口があるためです。

規格外品や納品期限切れの商品は、品質に問題がなければこうした販路で活用できます。ただし、これらは余剰が発生したあとの対策であり、余剰そのものを減らす対策ではありません。

寄付や別販路に頼る量が多い状態は、上流の発注や生産に原因が残っている状態です。関連する法制度や企業の事例は、食品ロス削減のために何ができる?関連法や企業が実施している事例を紹介で紹介しています。

AI・システムを活用してフードロスを減らす方法

原因ごとの対策を人の手だけで回し続けるには限界があるため、AIやシステムで仕組みを支える方法があります。なお、期限アラートのような通知機能は必ずしもAIではないため、AIによる予測や提案とは分けて理解しておきましょう。

  • AI需要予測で仕入れ量を適正化する
  • 期限管理システムで見落としを防ぐ
  • AI値引きで期限内の売り切りを進める
  • 店舗データを本部で共有する
  • B-Luckで発注・期限管理・値引きをつなげる

AI需要予測で仕入れ量を適正化する

過剰発注を発生段階から抑えるには、AI需要予測で仕入れ量を適正化しましょう。人の経験では処理しきれない量の変動要因を、AIであれば継続的に分析できるためです。

AIに過去の販売実績や曜日、天候、季節、販促などのデータを読み込ませ、商品ごとの需要を予測させて発注量を算出させます。担当者は算出された発注量を確認し、必要に応じて補正するだけで済むため、発注業務の時間の短縮にもつながる仕組みです。

AIの導入ポイントや事例については、食品ロス削減にAIはどう活かせる?需要予測・事例・導入のポイントを解説で詳しく解説しています。

期限管理システムで見落としを防ぐ

期限切れによる廃棄を防ぐには、期限管理システムで見落としを防ぎましょう。登録した期限をもとに確認が必要な商品だけを通知する仕組みがあれば、循環式の期限チェックを人の記憶に頼らずに運用できるためです。

期限アラートはルールにもとづく通知機能であり、AIによる予測とは別のものです。ただ、期限切れを防ぐという点では、もっとも直接的に働く仕組みです。OCR付きのハンディ端末と組み合わせれば、期限の登録作業そのものも自動化できます。

AI値引きで期限内の売り切りを進める

期限内の売り切りを進めるには、AI値引きの活用も検討しましょう。値引きの時期と幅を担当者の感覚に任せると、遅すぎて売れ残るか、早すぎて粗利を落とすかに偏りやすいためです。

AIに在庫数や過去の販売実績を分析させ、期限内に売り切るための値引き額とタイミングを提案させます。廃棄の削減だけでなく、売り切りと粗利の両立を目的とできるため、一律の値引きではなく別個の商品として値引きを考えることができます。

店舗データを本部で共有する

複数店舗を運営している場合は、店舗データを本部で共有しましょう。店舗別の在庫、期限、値引き、廃棄量を本部が把握できれば、店舗間の偏りや発注ルールの問題を見つけて改善できるためです。

廃棄の多い店舗と少ない店舗を比べて発注や値引きの運用の違いを分析する、期限の近い在庫が残っている店舗と発注しようとしている店舗を把握して在庫を融通する、といった対応は、データが本部に集まって初めて可能になります。

店舗任せの管理から本部主導の改善へ移すことが、全店のロスを減らす近道です。

まとめ

フードロスは、個人や現場担当者の意識不足だけで起こるものではありません。需要予測の難しさ、欠品を避けるための多めの用意、食品の販売できる期間、規格や商慣習、情報共有の不足が重なって発生します。2024年度の国内発生量は461万トンで、事業系と家庭系がほぼ半分ずつという構成です。

事業系のなかでも、製造業は過剰生産と規格外品、卸売業は納品期限と返品、小売業は過剰発注と売れ残り、外食産業は仕込みすぎと食べ残しというように、業種ごとに発生する場所と原因が異なります。自社のどの工程でロスが生まれているかを把握することが、対策の出発点です。

弊社ブライセンが提供するB-Luckは、AI需要予測型の自動発注、賞味期限チェック、AI値引きを備え、発注から期限管理、売り切りまでを一連の仕組みとして支援しています。原因を工程別に把握し、需要予測、期限管理、値引きをつなげることで、フードロスの少ない店舗運営をかなえましょう。

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