物流における賞味期限管理とは?基本ルールとAIによる在庫最適化を解説
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物流における賞味期限管理とは商品ごとの賞味期限やロット、在庫数、保管場所、出荷先を結びつけて管理するのがポイントです。店舗のように売り場の商品を1つずつ確認するだけでなく、入荷から出荷までの流れのなかで、期限に応じた在庫の引き当てや先出しの判断までが求められます。
一方で、取り扱う商品点数やロットが増えるほど、目視や手作業だけでの期限管理には限界があるのが実情です。取引先ごとに異なる納品条件や、複数拠点にまたがる在庫の把握など、物流現場ならではの課題もいくつも存在します。
本記事では、物流倉庫や卸売業における賞味期限管理の基本的な考え方から、現場で起こりやすい課題、システムやAIを活用した効率化の方法までを、食品卸売業や物流倉庫の管理担当者に向けて解説します。自社の在庫運用を見直す際の参考にしてください。
物流における賞味期限管理とは?
物流の現場でいう賞味期限管理とは、単に日付を確認する作業ではなく、ロットや在庫数、保管場所、出荷先までを1つのデータとして結びつける業務を指します。店舗での商品チェックが売り場に並ぶ商品の期限を目視で確認する作業であるのに対し、物流倉庫での役割は、入荷した商品を正しいロットで登録し、納品条件を満たす在庫を出荷先ごとに引き当てることです。
なお、賞味期限と消費期限の違いや、一般的な期限管理の考え方は賞味期限管理とは?方法や注意点、アプリ活用について解説で解説しています。また、店頭での期限チェックや値引きシールの運用については、小売業の賞味期限チェックで取り上げています。
物流倉庫や卸売業では、店舗とは異なる視点での期限管理が必要です。ロットごとの在庫を正しく把握し、取引先の条件を満たしたうえで出荷する仕組みづくりこそが、物流現場における賞味期限管理の中心的なテーマです。
物流で賞味期限管理が必要な理由
物流現場で賞味期限管理を徹底すべき理由は、廃棄コストの削減だけでなく、返品防止や誤出荷防止など経営面にも広がっています。
- 廃棄ロスと保管コストを減らすため
- 返品や納品拒否を防ぐため
- 誤出荷や逆転出荷を防ぐため
- 商品を追跡できる状態にするため
廃棄ロスと保管コストを減らすため
廃棄ロスと保管コストの削減は、賞味期限管理に取り組む代表的な理由の1つです。期限の近い在庫を把握できていないと、値引きや別拠点への移動といった判断が遅れ、廃棄せざるを得ない商品が増えてしまいます。
廃棄が発生すると、商品の仕入れ費用に加えて保管費や廃棄処理費といった追加コストも重なります。そのため、期限を早い段階で把握し、対応の選択肢を残しておくことが重要です。
返品や納品拒否を防ぐため
返品や納品拒否の防止も、賞味期限管理に取り組む理由として重要です。取引先によっては、賞味期限が残っていても、契約で定めた残存日数を満たさなければ受け取ってもらえない場合があります。
残存日数の条件を満たさない商品を出荷すると、返品や再配送が発生し、余分な物流コストがかかります。取引先ごとの納品条件は、あらかじめ整理しておくことが必要です。
誤出荷や逆転出荷を防ぐため
誤出荷や逆転出荷の防止も、物流現場が賞味期限管理に取り組む重要な理由です。期限切れの商品を誤って出荷してしまうケースに加え、前回の出荷より古い期限の商品をあとから送ってしまう「逆転出荷」も現場で起こりやすいトラブルです。
逆転出荷が発生すると、取引先からの信頼を損ない、以後の取引条件が厳しくなる可能性があります。だからこそ、ロットごとの期限を正確に管理し、出荷順を制御する仕組みが必要です。
商品を追跡できる状態にするため
商品を追跡できる状態にしておくことも、賞味期限管理の重要な役割です。不具合や自主回収が発生した際に、対象ロットの入荷日、保管場所、数量、出荷先をすぐに確認できなければ、対応が後手に回ってしまいます。
入荷から出荷までの情報がロット単位でつながっていれば、回収対象を絞り込み、影響範囲を最小限に抑えられます。なお、ロットを軸にした追跡体制は、平常時の在庫の偏りや滞留の把握にも役立つため、平時から取り入れておくべきでしょう。
物流倉庫で賞味期限を管理する基本的な方法
物流倉庫での賞味期限管理は、入荷から出荷までの一連の作業を正しく積み重ねることで実現します。
- 入荷時に賞味期限とロットを登録する
- 期限の近い商品から出荷する
- 出荷可能な期限を設定する
- 取引先ごとの納品条件を登録する
- ロットと保管場所を分けて管理する
入荷時に賞味期限とロットを登録する
物流倉庫で賞味期限を管理するには、入荷時に賞味期限とロットを登録しましょう。
以下のような情報を記録して、同じ商品でも期限が異なる場合は別の在庫として扱うのが基本です。
- 商品コード
- ロット番号
- 賞味期限
- 数量
- 入荷日
この登録が正確でなければ、そのあとのどの工程で確認や判断を挟んでも、期限管理の精度は上がりません。入荷時点でのデータ入力ルールを明確にしておくことが、その後の管理の基本になります。
期限の近い商品から出荷する
物流倉庫での賞味期限管理は、期限の近い商品から出荷するのが基本です。これは「先入先出」という考え方とは異なる「先期限先出し」という考え方です。
後から入荷した商品の期限が先に入荷した商品より短い場合もあるため、入荷順だけで出荷順を判断するのは避けたほうが安全です。在庫ごとの期限を個別に確認し、先期限先出しを基本ルールとして徹底する必要があります。
出荷可能な期限を設定する
物流倉庫は在庫が多い分、出荷可能な期限を設定しましょう。出荷可能な期限を設定しておかないと、賞味期限切れの商品を出荷してしまって取引先とのトラブルにつながりかねません。
具体的には、警告を出す残存日数と出荷を止める残存日数をあらかじめ決めておくのが良いでしょう。
物流業界にはいわゆる「1/3ルール」と呼ばれるものがありますが、これにとらわれずに、取引先ごとの契約条件を確認したうえで賞味期限管理の運用を実施しましょう。
取引先ごとの納品条件を登録する
賞味期限管理に加えて、取引先ごとの納品条件を登録しておきましょう。取引先ごとの納品条件は、同じ商品であっても一律ではありません。出荷先によって求められる残存日数が異なる場合があるため、商品と取引先を組み合わせて条件を管理する必要があります。
条件を個別に設定しておけば、出荷担当者が経験や記憶だけに頼らずに、正しい判断を下せます。なお、条件が変更された際は、速やかにマスタへ反映する運用ルールも決めておきましょう。
ロットと保管場所を分けて管理する
賞味期限管理の際は、ロットと保管場所を分けて管理しましょう。期限やロットが異なる商品を同じ場所へ保管した場合は、取り違えてしまう可能性があります。
棚や区画、温度帯といった保管場所の情報を在庫データと結びつけておけば、必要な商品をすぐに特定できます。保管ルールは在庫システムの設計段階から組み込んでおくことが重要です。
物流現場で起こりやすい賞味期限管理の課題
物流の現場で起こりやすい賞味期限管理の課題を5つ紹介します。
- 目視や手入力によるミスが発生する
- 入荷順と賞味期限順が逆転する
- 取引先ごとに出荷条件が異なる
- 複数倉庫の在庫を把握しにくい
- 需要を見誤ると過剰在庫が生じる
目視や手入力によるミスが発生する
物流現場で起こりやすい賞味期限管理の課題は、目視や手入力によるミスが発生することです。物流倉庫は商品数や入荷数、出荷数が日々膨大なため、確認作業の負担が重くなるためです。
具体的には日付の読み違いや入力漏れ、ロットの取り違えなどが典型例です。とくに紙やExcelを使った管理は、確認する担当者が増えるほど、記載ルールの解釈にズレが生じやすくなります。Excelでの管理方法や自動化の具体的な手順は、賞味期限チェックを自動化する方法!エクセル管理の方法やツールでの自動化も紹介をご覧ください。
入荷順と賞味期限順が逆転する
入荷順と賞味期限順が逆転することも、物流現場で起こりやすい課題です。後から入荷した商品でも、先に入荷した商品より期限が短い場合があり、入荷順だけを基準にすると、期限の短い商品が後回しになってしまいます。
この逆転を見落とすと、気づかないうちに期限切れの在庫が積み上がってしまいます。入荷順とは別に、期限そのものを判断基準に加える仕組みが必要です。
取引先ごとに出荷条件が異なる
物流現場では取引先ごとに出荷条件が異なることがあり、この誤りでトラブルになることがあります。必要な残存日数を担当者が個別に覚えて判断していると、繁忙期や担当者の交代時に誤出荷が起こりやすくなります。
得意先別の条件をシステムやルールとして明文化しておけば、担当者が変わっても同じ基準で判断できます。属人化した判断を仕組みに置き換えることが対策になるので、属人化を排除した仕組みを取り入れましょう。
複数倉庫の在庫を把握しにくい
複数倉庫の在庫の把握しにくさも、物流現場で頻繁に起こる課題です。ある倉庫では期限の近い在庫が残っている一方、別の倉庫では同じ商品を新たに発注してしまうといった状況が生じます。
倉庫ごとに在庫情報が分断されていると、全体で見れば防げたはずの廃棄や過剰発注も見逃してしまいます。だからこそ、拠点をまたいだ在庫状況の共有が重要な対策です。
需要を見誤ると過剰在庫が生じる
需要予測の誤りは、賞味期限管理の観点からも見過ごせない課題です。期限を正しく記録していても、需要を超えて仕入れてしまえば、廃棄そのものは防げません。
期限管理と発注管理を切り離して考えると、片方だけを改善しても在庫の廃棄は減りません。そのため、次章で取り上げる需要予測や発注量の調整とあわせて対応する必要があります。
賞味期限管理をシステムで効率化する方法
ここまでの課題の多くは、在庫管理システムを活用することで解消できます。
- 在庫管理システムで期限とロットを一元管理する
- バーコードやハンディ端末で照合する
- アラートで確認対象を絞り込む
- 複数拠点の在庫情報を共有する
在庫管理システムで期限とロットを一元管理する
賞味期限管理をシステムで効率化するには、在庫管理システムで期限とロットを一元管理しましょう。商品、期限、ロット、保管場所、数量をまとめて管理し、期限の近い在庫の抽出や、出荷条件を満たさない商品の除外に活用します。
紙やExcelでの管理から専用システムへ移行するだけでも、確認にかかる時間は大きく短縮できます。アプリやツールの選び方は、賞味期限チェックアプリとは?できること・メリット・デメリットと事業者向けの選択肢を解説も参考にしてください。
物流倉庫でロット・賞味期限・出荷条件まで含めて管理する場合は、WMS(倉庫管理システム)の活用も有効です。弊社のクラウド型WMS「COOOLa」では、商品ごとのロット・賞味期限管理や出庫限界日の設定、複数拠点の在庫管理など、BtoB物流に必要な機能を備えています。
バーコードやハンディ端末で照合する
バーコードやハンディ端末で賞味期限を照合する方法もおすすめです。入出荷時に商品とロットを読み取り、出荷指示と自動で突き合わせることで、目視だけに頼る確認作業を減らせます。
なお、画像認識や光学文字認識、いわゆるOCRを使えば、賞味期限の手入力そのものを省略できる場合もあります。OCRを使った入力効率化の詳しい仕組みは、賞味期限入力を効率化するには?手入力の限界とAI・OCR活用の進め方を解説を参考にしてください。
アラートで確認対象を絞り込む
効率的に賞味期限管理をするために、アラート機能による絞り込みも活用しましょう。。全商品を毎回確認するのではなく、設定した残存日数に達した商品だけを抽出して対応します。
アラートを設定するだけでなく、通知を受け取ったあとに移動・値引き・出荷停止のどれを選ぶかという対応ルールも決めておく必要があります。アラートの設計とあわせて、現場での対応フローも整理しておきましょう。
複数拠点の在庫情報を共有する
複数拠点の在庫情報の共有も、効率的な賞味期限管理に有効な方法です。倉庫ごとの期限や在庫情報を1つの画面で把握できれば、期限の近い商品を需要のある拠点へ移動するといった判断がしやすくなります。
拠点間の情報が分断されたままだと、全体では防げるはずの廃棄や欠品を見逃してしまいます。複数拠点を運営する場合は、共有の仕組みを優先的に整えることが大切です。
AIを活用して賞味期限管理し期限切れと過剰在庫を減らす方法
賞味期限そのものの日付管理は主にルールとシステムで対応しますが、需要予測や発注量の調整にはAIを活用する動きが進んでいます。
- 需要を予測して発注量を調整する
- 期限切れ予定数を在庫へ反映する
- 期限の近い在庫を早期に把握する
- 在庫移動や売り切りの判断に活用する
需要を予測して発注量を調整する
AIを活用して需要予測をおこない、発注量を調整することで期限切れを防止し、過剰在庫を減らせます。AIに過去の販売実績や曜日、季節、天候、販促などのデータを読み込ませることで、需要を予測させて必要な発注量を自動で算出させます。
発注量を人の経験だけに頼っていると、繁忙期や天候の変化に対応しきれず、余剰在庫が生まれやすいです。だからこそ、データにもとづく需要予測を発注業務に組み込むことが有効です。
期限切れ予定数を在庫へ反映する
期限切れ予定数を在庫に反映させることで、AIによる発注量の精度を高めることができます。期限内に販売や出荷が難しいと見込まれる数量をあらかじめ除外しておけば、実態に近い量の発注判断ができるでしょう。
AIはこのような膨大なデータを取り込んで分析するのが得意です。もちろん人の目によるチェックは必要ですが、賞味期限切れ予定数の多さから販売の傾向などを分析させることで、無駄な在庫を取り入れずにすむ仕組みが作れます。
期限の近い在庫を早期に把握する
AIにアラートを出させて、期限の近い在庫を早期に把握することもできます。商品ごとの賞味期間と入荷後の在庫日数をもとにアラートを出す仕組みを使えば、担当者が個別に日付を確認しなくても、対応が必要な在庫を絞り込むことが可能です。
早期に把握できれば、値引きや別拠点への移動といった選択肢を残したまま対応を検討できます。
在庫移動や売り切りの判断に活用する
AIを在庫移動や売り切りの判断に活用するのもおすすめです。期限の期限の近い在庫を需要のある拠点へ移す、出荷先を調整するといった対応を、需要予測データにもとづいて判断します。
賞味期限管理システムのデータをAIに読み込ませ、その中から期限が近いものを需要のある拠点へ移動させる候補として提案させるような仕組みを使えば、効率的に在庫移動の判断が可能です。
賞味期限管理システムを導入するときのポイント
システムやAIの導入を検討する際には、事前に整理しておきたいポイントがあります。
- 商品と取引先ごとの期限ルールを整理する
- 既存システムとの連携範囲を確認する
- 例外が発生した場合の対応を決める
- 一部の商品や拠点で試験運用する
商品と取引先ごとの期限ルールを整理する
賞味期限管理システムを導入する際は、商品と取引先ごとの期限ルールを整理しておきましょう。ルールが曖昧なままだと、システムへ正しい条件を設定できないからです。
具体的に商品と取引先ごとの期限ルールを整理しておき、そのルールをシステムへ設定して既存のフローと同じように運用できるようにしましょう。
現状の運用を洗い出す作業から着手することが、導入の第一歩になります。
既存システムとの連携範囲を確認する
賞味期限管理システムを導入する際は、既存システムとの連携範囲を確認しましょう。すでにシステムをいくつか導入している場合、それらと連携できていなければ、システムが乱立して現場が混乱します。連携範囲があいまいなまま導入を進めると、データの二重入力や更新漏れが発生しやすくなるため、しっかり整理が必要です。
そのため、販売管理や受発注、倉庫管理システムなど、どのシステムからどの情報を取得するかまで決めておきましょう。なお連携の設計は、システムベンダーと早い段階ですり合わせておくと安心です。
例外が発生した場合の対応を決める
例外対応のルール決めは、運用開始後のトラブルを防ぐためにも決めておきましょう。例外時の対応が現場任せのままだと、担当者によって判断がばらつき、記録の一貫性も失われます。返品、期限情報の誤登録、ラベルの読み取り不能、セット商品の組み替えなど、通常の処理から外れるケースへの対応をあらかじめ決めておきます。
想定される例外パターンを事前に洗い出し、対応フローを文書化しておくと安心です。
一部の商品や拠点で試験運用する
賞味期限管理システムを導入する前に、一部商品や拠点で試験運用を実施しましょう。試験運用段階で課題を発見し、全拠点への展開前に解消しておけば、手戻りが少なくなるためです。また、現場の混乱やシステムのストップによる業務停止も防げます。
まずは期限管理の厳しい商品、特定の倉庫にシステムを導入して入力の負担やアラートの精度、現場での使いやすさを確認しましょう。現場のスタッフからもフィードバックも広く募り、出た意見をもとに改修やフローの改善を実施します。
いきなり全社展開を目指すのではなく、段階的な導入を検討するのがおすすめです。
まとめ
物流における賞味期限管理では、商品ごとの期限やロット、保管場所、出荷先の条件を結びつけて管理する必要があります。店舗での期限チェックとは異なり、納品条件を満たした在庫を正しく引き当てる視点が重要です。
現場では、目視や手入力によるミス、入荷順と賞味期限順の逆転、複数倉庫での在庫の把握しにくさなど、さまざまな課題が起こりやすくなります。こうした課題への対応は、システムによる一元管理やアラートの活用で解消しやすくなるものです。加えてAIによる需要予測を組み合わせれば、過剰在庫や廃棄そのものを減らすことにもつながります。
物流倉庫におけるロット・賞味期限管理には、弊社ブライセンのクラウド型WMS「COOOLa」が対応しており、商品ごとの期限管理や出庫限界日の設定、複数拠点の在庫管理などを支援します。
また、「B-Luck」ではAIによる需要予測型自動発注などを通じて、需要に応じた在庫・発注の最適化を支援しています。賞味期限を正しく管理する仕組みと、過剰在庫そのものを抑える仕組みを組み合わせることで、より安定した物流・在庫運用につなげることができます。自社の運用状況を踏まえ、賞味期限管理とAI活用による安定した物流体制をかなえましょう。
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